📈 1. 現状:高市政権誕生と「サナエノミクス」相場

2025年10月に高市早苗新政権が発足して以来、日経平均株価は市場の強力な期待感を背景に急騰しています。

10月には史上初めて4万7000円台を突破、11月には一時5万円の大台に乗せるなど、海外投資家からも「高市トレード(Takaichi Trade)」と呼ばれるほどの活況を呈しています。

この株高の主な要因は、高市首相が掲げる経済政策、通称**「サナエノミクス」**への期待です。

  • 積極的な財政出動:大型の経済対策や防衛費の増額が見込まれており、これが内需を強く刺激するという期待が先行しています。建設、防衛関連、インフラ関連の銘柄が特に買われています。
  • 金融緩和の継続:新政権は、日本銀行に対して引き続き強力な金融緩和を求める姿勢を見せています。これにより、当面は低金利環境が維持され、企業が資金調達しやすい状況が続くとの見方が強まっています。
  • 「株高・円安」の容認:金融緩和と財政出動の「ポリシーミックス」は、結果として円安を招きやすくなります。円安は日本の輸出企業(自動車、電機など)の業績を押し上げるため、株式市場全体にとってプラス材料と捉えられています。

⚠️ 2. 今後のリスク要因:「下落」につながる可能性

現在の相場は非常に強力ですが、ご懸念の通り「下落」につながりかねないリスク要因も存在します。特に以下の3点には注意が必要です。

A. 世界経済(特に米国)の減速懸念

日本の株価は、世界経済、特に最大の輸出先である米国経済の動向に強く影響されます。

  • 米景気の失速
    現在の米国経済は、高金利の影響を受けつつも底堅さを保っています。しかし、今後インフレが再燃したり、景気後退の兆候が鮮明になったりした場合、米国の消費が冷え込みます。そうなると、円安であっても日本の輸出企業は「売るモノの数」が減り、業績が悪化する可能性があります。
  • AIブームの一巡
    これまでの世界的な株高を牽引してきたのは、NVIDIAに代表されるAI・半導体ブームでした。このブームが「期待先行だった」として一巡すると、東京市場のハイテク株(東京エレクトロン、ソフトバンクグループなど)が急落し、日経平均全体を押し下げるリスクがあります。

B. 「もしトラ」:トランプ前大統領の再登板リスク

米国では次期大統領選に向けた動きが活発化しており、「もしトランプ氏が政権に復帰したら(=もしトラ)」というシナリオが市場の大きな不確実要因となっています。

  • 保護主義的な通商政
    トランプ政権の最大のリスクは**「関税」**です。特に「全輸入品への一律10%関税」や、日本を含む同盟国へのさらなる要求(例:自動車への高関税)が現実化すれば、日本の輸出産業は壊滅的な打撃を受けかねません。
  • インフレの再
    トランプ氏が公約する大型減税や関税引き上げは、米国内のインフレを再び悪化させる可能性があります。そうなれば、米国は金利をさらに引き上げざるを得なくなり、世界経済全体が混乱する恐れがあります。
  • 予測不可能性:地政学的なリスク(ウクライナ、中東など)に対する同氏の予測不可能な対応は、市場の「不透明感」を極度に高め、投資家が一斉にリスク回避(=株売り)に動く引き金になり得ます。

C. 高市政権への「期待剥落」

現在は「サナエノミクス」への期待で株価が上がっていますが、これは「期待」に過ぎません。

もし今後、掲げた経済対策の規模が小さかったり、政策の実行が遅れたり、あるいは財政規律の緩みを懸念した海外勢が「日本売り」に転じたりした場合、期待が大きかった分、失望による下落も大きくなる可能性があります。


📊 3. 今後の日経平均 展開予想


上記を踏まえた今後の展開予想は、**「短期的には高揚感が続くが、中長期的には外部リスクとの綱引き」**となります。

  • 短期予想(~2025年末)
    「サナエノミクス」相場の勢いは強く、一部のアナリストは年末までに5万5000円といった強気な目標値も掲げています。ただし、AI関連の決算発表など、短期的な調整が入る場面(例:4万9000円台まで一時的に下落)も想定されます。
  • 中長期予想(2026年~)
    高市政権の政策が実体経済(個人の賃金上昇や企業の設備投資)に結びつくかが焦点です。もし上手く「経済の好循環」が生まれれば、一部では「2035年に8万円」といった超長期の強気シナリオも語られています。しかし、その道中では**「米国の景気後退」や「もしトラ(トランプ政権復帰)」**といった世界経済の荒波が最大の障害となります。これらのリスクが現実化した場合、日経平均は再び4万円台前半、あるいはそれ以下への下落も十分に考えられます。

**結論として、**現在の株高は日本の国内要因(高市政権)によるものですが、その持続性(あるいは下落への転換)は、ひとえに米国を中心とした「海外要因」にかかっていると言えるでしょう。